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わだち歯科シニア歯科の院長玉本です。
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「毎日歯を磨いているのに歯がしみるようになった」「前歯が以前よりも透明になった気がする」「歯の表面がツルツルしているのに欠けやすい」。このような症状がある場合、虫歯ではなく「酸蝕歯(さんしょくし)」が原因になっている可能性があります。
酸蝕歯とは、食べ物や飲み物に含まれる酸や胃酸などの影響によって、歯の表面が少しずつ溶かされてしまう状態をいいます。近年は健康志向の高まりによって果物や炭酸水、スポーツドリンク、黒酢飲料などを日常的に飲む方が増えていますが、これらの食品の中には酸性度が高く、摂取方法によっては歯へ負担をかけてしまうものもあります。
また、酸蝕歯は初期にはほとんど痛みがありません。そのため、自分では気付かないうちに少しずつ歯が摩耗し、症状が進行してから歯科医院で初めて指摘されるケースも少なくありません。
酸蝕歯が進行すると、歯がしみる知覚過敏や歯の変色、歯の欠け、噛みにくさなどが起こることがあります。さらに重症になると、被せ物などの治療が必要になる場合もあります。
虫歯と酸蝕歯はどちらも歯が溶ける病気ですが、その原因は大きく異なります。虫歯は細菌が作る酸によって歯が溶けるのに対し、酸蝕歯は飲食物や胃酸などの酸が直接歯を溶かしてしまうことが特徴です。
この記事では、酸蝕歯の原因や症状、虫歯との違い、予防方法、歯科医院で行う治療について詳しく解説します。
◆◇ 酸蝕歯とは?虫歯との違いを知ろう
酸蝕歯とは、酸性の飲食物や胃酸の影響によって歯の表面を覆うエナメル質が少しずつ溶けていく病気です。
歯の一番外側にはエナメル質という非常に硬い組織があります。このエナメル質は人体の中で最も硬い組織といわれていますが、酸には弱いという性質があります。
通常、お口の中は中性に保たれています。しかし、酸性の飲み物や食べ物を摂取すると一時的にお口の中が酸性へ傾きます。この状態が短時間であれば、唾液の働きによって再び中性へ戻り、再石灰化という修復作用によって歯は回復します。
ところが、酸性の飲食物を何度も口にしたり、長時間かけて飲み続けたりすると、歯が修復される前に再び酸へさらされることになります。その結果、エナメル質が少しずつ溶けていき、酸蝕歯が進行します。
虫歯との違いは原因です。
虫歯は虫歯菌が糖分を分解して酸を作り、その酸によって歯が溶けます。一方、酸蝕歯は細菌ではなく、飲食物や胃酸そのものが歯を溶かします。
また、虫歯は部分的に穴が開くことが多いのに対し、酸蝕歯は歯全体が均一に摩耗する傾向があります。
歯の丸みが失われたり、前歯の先端が薄く透明になったり、奥歯の噛む面がすり減ったようになることも特徴です。
初期症状が少ないため、自分では気付きにくい病気の一つですが、進行すると知覚過敏や歯の破折につながることもあるため、早期発見が重要になります。
◆◇ 酸蝕歯の主な原因とは
酸蝕歯の原因は、大きく分けて外から入ってくる酸と、体内から逆流する胃酸の二つがあります。
まず最も多いのが飲食物による酸です。
炭酸飲料はもちろん、スポーツドリンク、エナジードリンク、柑橘系ジュース、ワイン、黒酢飲料、果実酢、レモン水などには酸が多く含まれています。
また、健康に良いイメージのあるグレープフルーツやキウイ、パイナップルなどの果物も酸性度が高く、食べ方によっては歯へ影響を与えることがあります。
問題なのは「何を飲むか」だけではありません。
例えばスポーツドリンクを少しずつ何時間も飲み続ける習慣や、炭酸飲料を仕事中に頻繁に飲む習慣は、お口の中が酸性の状態になる時間が長くなるため、酸蝕歯のリスクを高めます。
次に胃酸の影響があります。
胃酸は非常に強い酸性であり、逆流性食道炎や慢性的な胃酸逆流、頻繁な嘔吐などがあると歯へ直接触れ、酸蝕歯を引き起こすことがあります。
特に上の前歯の裏側や奥歯の内側が溶けている場合は、胃酸の影響が疑われることがあります。
さらに、お口の乾燥も酸蝕歯を進行させる要因になります。
唾液には酸を中和し、歯を修復する重要な働きがあります。しかし加齢や服薬、ストレスなどで唾液が少なくなると、歯が酸から守られにくくなります。
このように、酸蝕歯は生活習慣と深く関わる病気であり、日頃の食生活を見直すことが予防への第一歩になります。
◆◇ 酸蝕歯が進行すると現れる症状
酸蝕歯は初期にはほとんど自覚症状がありません。
しかし、エナメル質が少しずつ薄くなるにつれて、さまざまな症状が現れます。
最も多い症状が知覚過敏です。
冷たい水やアイスクリーム、甘いものを食べたときに歯がしみるようになります。これはエナメル質が薄くなり、その内側にある象牙質が刺激を受けやすくなるためです。
また、歯の色が黄色っぽく見えることがあります。
象牙質はもともと黄色みを帯びた色をしているため、エナメル質が薄くなることで内側の色が透けて見えるようになります。
前歯では先端が透明に見えることも特徴です。
さらに進行すると歯の表面が丸くなり、角が取れたような形になります。奥歯では噛む面がすり減り、詰め物だけが盛り上がって見えることもあります。
重症になると歯が欠けたり割れたりしやすくなり、食事がしにくくなる場合もあります。
歯の長さが短くなることで噛み合わせにも影響が出る可能性があります。
このような変化はゆっくり進行するため、自分では気付きにくいことが少なくありません。
定期検診では初期の酸蝕歯も発見できるため、自覚症状がなくても定期的なチェックが重要になります。
◆◇ 酸蝕歯を防ぐために今日からできること
酸蝕歯は生活習慣を見直すことで予防できる病気です。
まず意識したいのは酸性飲料の飲み方です。
一度に飲み切ることは問題ありませんが、少量を何時間も飲み続けることは避けましょう。
酸性飲料を飲んだ後は、水やお茶でお口をすすぐことも効果的です。
また、酸性の飲食物を摂取した直後は歯が一時的に柔らかくなっています。そのため、すぐに歯磨きをするとエナメル質を傷付けてしまう可能性があります。
30分から1時間程度時間を空けてから歯磨きをすると、唾液による再石灰化が進み、歯への負担を減らせます。
さらに、フッ素入り歯磨き粉を使用することもおすすめです。
フッ素は歯の再石灰化を促進し、酸に強い歯質を作る働きがあります。
歯科医院では高濃度フッ素塗布や知覚過敏の処置を受けることもできます。
酸蝕歯が進行して歯の形が大きく変化した場合には、コンポジットレジンやセラミックなどで歯の形を回復する治療が行われることもあります。
酸蝕歯は一度溶けたエナメル質が自然に元へ戻ることはありません。そのため、早期発見と予防が何より重要です。
毎日の食生活を少し見直し、定期的に歯科医院でお口の状態をチェックすることで、大切な歯を長く健康に保つことができます。もし「最近歯がしみる」「歯が透明になった気がする」「歯の形が変わってきた」と感じたら、自己判断せず早めに歯科医院へ相談することをおすすめします。