わだち歯科シニア歯科の院長玉本です。
歯周病は歯茎や歯を支える骨(歯槽骨)に炎症が起こり、進行すると歯を支える土台が崩れてしまう病気です。軽度のうちは治療によって改善が期待できますが、重度になると歯を維持することが難しくなり、抜歯が必要になる場合があります。今回は、歯周病で抜歯が必要になる基準やその方法について解説します。
歯周病で抜歯が必要になる基準
歯周病が進行して抜歯が検討されるのは、以下のようなケースが考えられます。
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歯を支える骨がほとんど残っていない場合
歯周病が進行すると、歯槽骨が溶けて歯を支える力が弱くなります。特に歯槽骨の吸収が70%以上進行している場合、歯がぐらぐらと動いてしまい、咬む機能を果たせなくなることがあります。このような状態では、抜歯が必要となる場合が多いです。 -
重度の感染がある場合
歯周ポケット(歯と歯茎の隙間)が深くなり、そこに細菌が蓄積して炎症が治まらない場合、周囲の組織や骨をさらに破壊するリスクがあります。抗生物質や洗浄で症状が改善しない場合は、感染源を取り除くために抜歯を選択することがあります。 -
周囲の歯への悪影響がある場合
歯周病が重症化した歯を残しておくと、隣の健康な歯にも炎症が広がる可能性があります。この場合、周囲の歯を守るために問題のある歯を抜くことがあります。 -
歯根が割れている場合
歯周病による進行で歯根が損傷したり、割れてしまったりすると、歯を保存することが難しくなります。この場合も抜歯が必要です。
抜歯の方法
歯周病で抜歯が必要な場合、状況に応じて以下の方法が選ばれます。
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通常の抜歯
歯がまだしっかりと見える状態であれば、歯科用ペンチやエレベーターと呼ばれる専用器具を用いて歯を抜きます。この方法は比較的シンプルで短時間で終わることが多いです。 -
外科的抜歯
歯周病が進行して歯が骨に埋まっている場合や、歯根の形状が複雑な場合は外科的な処置が必要です。歯茎を切開し、歯や歯根を慎重に取り除きます。 -
分割抜歯(分根術)
奥歯などで歯の根が複数ある場合、それぞれの根を分割して一つずつ取り除く方法が採用されることがあります。
抜歯後のケアと注意点
歯周病による抜歯後は、適切なケアを行うことが重要です。
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感染を防ぐ
抜歯後の傷口は細菌感染のリスクがあります。歯科医から処方された抗生物質や鎮痛薬を正しく服用し、傷口を清潔に保ちましょう。 -
義歯やインプラントの検討
抜歯後の歯の欠損をそのままにしておくと、噛み合わせや他の歯に影響が出ます。義歯、ブリッジ、インプラントなどの補綴治療を早めに検討することが大切です。 -
再発防止のための歯周ケア
他の歯が歯周病で失われないように、定期的な歯科検診と徹底した歯磨き、歯間ブラシやフロスの使用を習慣化しましょう。
まとめ
歯周病が進行して抜歯が必要になるかどうかは、歯槽骨の状態や感染の程度によって判断されます。抜歯は最終手段ですが、適切なタイミングで行うことで他の歯や全身の健康を守ることができます。早めの治療と予防ケアを徹底し、歯周病を重症化させないことが重要です。定期的な歯科受診を通じて、健康な口腔環境を維持していきましょう。